2009年08月31日

心の扉〜序章:封印された記憶



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【心の扉〜序章:永遠の孤独】からの続き



あれから、どれ位時が流れたのだろう・・・。


この閉ざされた闇の中にいる僕には、

もう、どうでも良いはずなのに・・・。


ふと、そんな事を思った自分が可笑しくて

苦笑しながら、静かに瞼を開けてみる。


周りは相変わらずの闇と沈黙に包まれ

見渡す限り目に映るものは何も無い。


そっと溜め息をつき、再び瞼を閉じようとした、その時

遠くで微かな光が瞬くのが眼に入った。


あの光は何だろう?


そう思い光の方角に眼を凝らしてみる。

よく見てみると、小さな光は一つではなく

色も大きさも様々な光が無数に点在し

それぞれが違った揺らめきを持っている。


或るものは、哀しく儚げな光を放ち

また、或るものは、胸を刺す鋭い光を放ちながら

遠くに近くに瞬いている。


その一つに向かって手を伸ばしてみる。


光は、蛍が舞うように、静かに手の平に降りて来た。


と、同時に光は眩いばかりの光を放ち

心の中に,或るひとつの記憶ともに流れ込んで来た。


光の奔流は理性の箍を外し

押さえ込まれていた感情を溢れ出させた。


甦る鮮烈な記憶は

脳裏に克明な情景を映し出し

心を翻弄した。


眼前に観るかのような迫真の映像は

現実の肉体感覚を伴い

今、まさに、自分が其処に或るかのような

錯覚を起こさせた。


そう・・・。

これは、忘れていた記憶。


決して思い出す事の無い

永遠に封じ込めたはずの思い。


もう見たくない!

思い出したくない!


激しく拒絶する心と裏腹に

何かしら抗いきれない力に後押しされるように

激しく動揺する心を抑えながら

震える指先を、別の光に向けて差し出してみる。


ひとつ・・・、また、ひとつ・・・。


心を苛む傷みと悲しみ、苦悩や絶望。


嘘と裏切り、虚栄心と猜疑心。


それらに紛れて、今にも消え入りそうな

か細く、しかし、柔らかでとても温かな光。


その光は、静かに心の奥に入り込み

頑な心を溶かすように隅々まで

ゆっくりと染み渡って行った。


ふと、気が付くと温かな感触が頬を伝う。


これは・・・、涙・・・・・。


忘れていた感情。


悲しいでもなく、悔しいのでもなく

心の中から何かが溶け出すような感覚。


この光がもたらす感情は一体、何なのだろうか?


遠く朧げな情景・・・。


照らし出す柔らかな光。


微かな音と薫る風。



僕は、何か大切な事を

忘れているんじゃないだろうか・・・?


脳裏をよぎる微かな疑問。


あらゆる災厄の詰まった【パンドラの匣】のような

この閉ざされた闇の中で

たった、ひとつ残った希望なのかも知れない。


だが、その記憶はあまりに朧げで頼りなく

確かめる術も無い。


しかし、その記憶の正体を知りたいと云う衝動が

心を大きく揺らし始めていた。



【心の扉〜序章:閉ざされた心の扉】へ続く




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posted by 吟遊奇人 at 00:00 | Comment(0) | 心の扉〜序章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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